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2024.1.29

DXで推進する働き方改革|地方・中小企業で実施する際のポイントを解説

個人がそれぞれのライフスタイルに合わせた働き方で仕事の生産性を高めることなどを目的に推進される働き方改革。2019年に可決された働き方改革関連法により、仕事に対する価値観や考え方が変化しています。

働き方改革の推進において、企業は時間外労働時間の上限を設定するなど働く時間自体を短くするだけではなく、これまでの仕事の無駄を省き、より効率的に業務を進めることを考えなければなりません。

無駄を省いた効率的な仕事を進める上で注目されるのがDX(デジタルトランスフォーメーション)です。この記事では、働き方改革とDX推進の関連性やポイント、留意点などについて解説します。

働き方改革とDXの関係性

働き方改革の目的は主に下記の3つです。

  1. 人口減少による働き手の不足解消
  2. 一人ひとりの労働生産性を高める
  3. 長時間労働を是正し、ライフワークバランスを整える

日本の少子高齢化は深刻で、今後も人口が劇的に増える見込みは今のところありません。

一方、世の中のビジネスはインターネットの発展やニーズの多様化などを背景に高速化しており、日々の業務が減ることはありません。

例えばこれまで3人で進めていた業務を2名で進める為には、一人ひとりの業務量を増やすだけでは負担が過多になってしまいます。

働き方改革の推進には、従業員の働き方だけではなく、業務自体の改善も図らねばなりません。

働き方改革が地方・中小企業に必要な理由

グローバル化の流れもあり、企業規模に関わらず、海外を見据えたビジネス展開が必要な時代になりました。人口減少が続く日本が今後海外企業と渡り合うには、限られた人的リソースでいかに労働生産性を高めるかが重要です。

労働生産性とは従業員一人当たりの付加価値額を指します。労働生産性が高いほど、効率的に業務を進めている、ということになります。

日本の労働生産性は高くありません。日本生産性本部がまとめた2022年の労働生産性ランキングを見ると、経済開発協力機構(OECD)加盟の38か国中、30位と低迷しています。先進7か国(G7)の中でも最下位と、今後の経済成長に向けて深刻な課題となっています。

調査を監修した学習院大学の滝沢教授は「デジタル分野への投資を促進し付加価値向上を図らねばならない」と述べています。

DX推進は業務改善につながる大きな一手

働き方は、就業規則の更新や正社員以外の雇用促進など人的リソースの観点での改善が中心となります。

では、業務の改善はどうでしょうか。

時間外労働の短縮や人員の削減などを施した上で、これまでと同じ方法で業務を行うと、特定の社員への負担が偏ってしまったり、これまでと同じ期間で業務が完了しないケースが増えることが大いに考えられます。

働き方を改革すると同時に業務の最適化も大切です。そこで注目されているのが「DX(デジタルトランスフォーメーション)」です。

デジタルとはアナログをデータ化すること、トランスフォーメーションは変革を意味します。これまでのアナログ業務をデジタルに移行し、業務改革を行うことがデジタルトランスフォーメーションです。働き方改革に伴う業務効率化の推進に、DXが不可欠とされています。

DXで実現する多様な働き方

DXの推進は業務内容だけではなく、働き方も変化させます。

2020年のコロナ禍では、緊急事態宣言の発出などにより外出が制限され、これまで、当然とされていた「会社に出社して仕事をする」という習慣が常識ではなくなりました。

それまで対面で実施していた商談や打ち合わせ、会議などが、オンライン上でも十分成立することに、あらゆる企業が気付いています。これは、働き手である従業員にとって画期的であるだけではなく、企業側にとっても、社員の通勤費の削減やスペースを最低限に抑えることによる不動産の最適化といったコストの見直しにもつながりました。

身近なDXの例

DXによって、人々の生活やビジネスは根本的に変化していくでしょう。DXと聞くだけで「難しそう」と拒否反応を起こしてしまいそうな人も、DXによる生活利便性の向上は体感しているはずです。

例えば、スーパーやコンビニで見かける無人レジもDXのひとつです。これまで、定員さんが担っていた集計業務を顧客が自ら担うことで、顧客は待ち時間が短縮され、定員さんは品出しや清掃など他の業務に就くことで、店内の人員を必要最低限に抑えつつ業務生産性を高めることができています。

この様に、これまで当たり前の様に行っていた業務や行程をデジタル化することによって、企業側と顧客双方向にとって良い変革がもたらされます。

DXと働き方改革は今後、切っても切り離せない関係となるでしょう。

DXで働き方改革を推進する方法

働き方改革もDX推進も、それぞれが一人歩きしては思った効果を得ることができません。DX推進にも導入コストは発生するので、的確な効果を出すために必要なステップを踏むようにしましょう。

1.自社の課題を明確にする

地図を持っていても現在地が分かっていなければ目的地には到着しない原理と同じで、DX推進や働き方改革も、自社の現状を把握しなければ適切な改善策を企てることはできません。

まずは、現在の課題を洗い出し、DXで解決できる物事を特定しましょう。

DX推進の観点でいうと、現状の社内でIT利用状況やシステムの稼働状況、それらを用いて業務を行っている部署や社員からの生の声も参考にしましょう。その上で、DXによって何をどの様に、どの段階まで改善するのか、という目的を明らかにし、社内で共通認識を持ちましょう。

2.DX推進の体制を整える

DX推進にはITやデジタルに対する専門知識を持つ人材が必要です。現状、社内にその様な人材がいる場合はその方をアサインするのが一般的です。また、より高度な専門知識を持つ人材や他社でDX推進の実績がある人材を外部から採用し、強化するのもひとつの方法です。

一方で、DX推進がITの専門知識だけで実現できるかというとそうではありません。IT人材は改善策を講じることはできますが、改善ポイントを突き止めるスペシャリストも必要です。社内の経営や企画に携わり、普段から会社を俯瞰的かつ総合的に見る癖がついている人材がチームに加われば、改善効果の最大化が期待できます。

3.具体的な施策の検討、導入

自社の現在地やDX推進と働き方改革の目的、それらを目指す体制が整ったら、具体的な施策の検討に入りましょう。

導入コストやシステム導入の移行期間、導入することにより考え得るリスクなど多角的に考え施策を講じる必要があります。

会社の規模によってはトライアル期間を十分にとり、段階的に移行するのが安全です。トライアルを経たうえで、社員の感想や改善ポイントの検討を重ねることにより、施策の精度はより向上します。

4.社員への周知

全従業員向けに有用であると思って進めたDX推進による働き方改革ですが、「これまでのやり方の方がやりやすい」「新しいことを覚えるのは面倒」と考える従業員もいます。

推進する側は躍起となってDX推進を図りますが、従業員が置き去りにならない様、施策の周知には配慮しましょう。従業員の理解が曖昧なまま施策がスタートしてしまうと、トラブルやアクシデントの頻発により、混乱が生じてしまいます。

DX推進は全従業員の理解と協力があって実現する施策であることを心得ておきましょう。

5.動作チェック、効果検証

DXによる新施策が実装したら、必ず効果検証を行いましょう。初めは想定した効果を得ることができないかもしれませんが、検証し、更なる改善ポイントの究明したり、従業員の慣れが出始めると安定した効果が期待できます。

まとめ

今後、人口減少が予測される日本においてDXによる働き方改革は重要な役割を担います。

デジタルの力で効率化できる業務と、人の力で成立する業務をすみわけ、デジタルと人的リソースを相乗させることで、DXによる働き方改革の推進が期待できます。